2010年11月24日水曜日

ティムバーナーズリーがAppleとFacebookを批判



Webの生みの親であるティム・バーナーズ=リー氏が、Webのオープンスタンダードと中立性の保持を主張した長文記事で、AppleとFacebookを批判しています。

ティム・バーナーズ=リー氏とは誰かといいますと、イギリスの計算機科学者で、ロバート・カイリュー氏とともに、World Wide Web(WWW)のハイパーテキストシステムを考案・開発した偉大な人物です。URL、HTTP、HTML の最初の設計も彼によるものです。

まず、彼の考えをおおまかにでも知るために、元記事の要約文を見てみましょう。彼の思想や問題意識が端的に表れている有用な文章と思われます。

普遍性の原則によって、Webが機能するのに、ハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク接続・言語のそれぞれが何であるかは問題になりませんし、また、あらゆる種類と質の情報を処理できます。この原則がWebテクノロジーデザインを導いています。

誰でも自由に使えて使用料のかからない技術標準のおかげで、人々は、誰かの許可を得たり、料金を支払う必要なしに、アプリケーションを作成できます。特許や、アドレスとして共通URIを使わないWebサービスは、イノベーションを制限してしまいます。

インターネットを脅かすもの、すなわち、ネットのトラフィックを妨げたりコソコソせんさくしたりする企業や政府は、ネットワークにおける基本的な人権を危険にさらします。

Webアプリケーションやリンクで結びついたデータ、そして他の未来のWebテクノロジーは、メディアの基本原則が守られる場合に限り、繁栄するでしょう。

共通URIというのはURLのことだと考えてもらってここでは問題ないと思います。

では、彼の言う「ネットのトラフィックを妨げたりコソコソせんさくしたりする企業」に含まれるであろうAppleとFacebookについて彼が何と言っているか見てみましょう。

AppleのiTunesシステムは例えば、オープンなURIを使って曲やビデオを識別します。しかし、そのアドレスは“http:”の代わりに独自仕様の“itunes:,”で始まります。あなたは“itunes:,”リンクにApple私有のiTunesプログラムを使ってのみアクセス可能です。iTunesの世界の情報、つまり曲やバンドインフォメーションなどへのリンクをつくることはできません。あなたはリンクを誰かが見られるように送信することができません。もはやあなたはWebにいないのです。iTunesワールドは中央集権化され、城壁で囲まれています。あなたは開かれた市場にいるのではなく、たったひとつの店の中に閉じ込められているのです。全ての店が持つ素晴らしい特徴の代わりに、その進化は一つの企業の思いつきに限定されてしまいます。

Facebook, LinkedIn, Friendster などのソーシャルネットワークサイトは、一度これらのサイトにデータを入力すると、他のサイトでそのデータを利用するのは簡単ではありません。それぞれのサイトは他から隔離されたサイロです。たしかに、サイト内のあなたのページはWeb上に存在しています。しかし、あなたのデータはそうではありません。あなたは、それらのサイトでつくった友達リストのページにアクセスできますが、そのリストやリストに含まれるアイテムを他のサイトに送信することができません。

「中央集権」「城壁」などの言葉を聞くと、ヨーロッパ中世史の話をされているような気がしてきます。それにならうと、AppleやFacebookは民の支持を得た強力な独裁国家ということになりそうですね。ときには、普段あたりまえに触れているインターネットやWebの設計思想を振り返ってみて、望ましい方向に向かっているのか考えてみる必要がありそうです。

Long Live the Web: A Call for Continued Open Standards and Neutrality: Scientific American

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大向 一輝,池谷 瑠絵

丸善出版